慢性低血糖がアルツハイマーの誘因とする説

IP NEXTは12月25日、「http://www.ipnext.jp/news/index.php?id=5388」と題する記事を掲載していた。


いわく、「血液量の低下が脳のエネルギーを奪い、タンパク質凝集プロセスが開始することを示唆する結果が示された。研究者らはこれがアルツハイマー病の原因となるとの考えを示した。」とのこと。


DMの対症療法でインスリンを打っていると月に1度くらいは低血糖症状に見舞われるのでこの記事のタイトルにちょっとドキッとしたわけだが、慢性的な低血糖の意味はむしろ脳血流量低下に伴う血糖供給の継続的な不足状態のことを指すらしいと知って、ほっと胸をなで下ろした次第。

慢性低血糖アルツハイマー病の原因か−米研究結果
[2008/12/25]

 米研究者チームが、脳の血糖値の慢性的な低下がアルツハイマー病のある種のものを引き起こす可能性があるという研究結果を米科学誌ニューロン(Neuron)12月26日号に発表した。24日ロイターが報じた。

 今回実施されたヒトやマウスの脳を用いた研究で、血液量の低下が脳のエネルギーを奪い、タンパク質凝集プロセスが開始することを示唆する結果が示された。研究者らはこれがアルツハイマー病の原因となるとの考えを示した。

 「この発見は、運動、コレステロールの抑制、血圧制御などのアルツハイマー病の予防策につながる可能性がある」と同研究を行なったノースウエスタン大学(Northwestern University's Feinberg School of Medicine )のRobert Vassar 教授のチームは報告した。

 「脳への血液量の増加が、アルツハイマー病の効果的な予防または治療となる可能性が示され、重要な発見となった。早期に開始すれば、アルツハイマー病の予防が可能かもしれない」Vassar 教授はコメントしている。

 アルツハイマー病は不治の病であり、脳の思考・記憶・言語などを司る部分が犯される老人性認知症のうち最も多い型である。最新の治療薬は脳内のアミロイドβタンパク凝集を取り除くことに焦点を当てたものであるが、「タウ」タンパク質の異常蓄積による神経原線維変化を阻害する治療法も研究されている。

 Vassar 教授のチームは脳に充分なエネルギーが供給されない時、「elF2alpha 」と呼ばれるタンパク質が変性することを発見した。すると酵素生産が亢進し、タンパク質凝集を引き起こすという。今回の研究結果が、タンパク質凝集を引き起こす「elF2alpha」タンパク質の生成を阻害する医薬品の開発につながる可能性がある、とVassar教授はコメントしている。