活性水素水で血糖値が有意に低下という研究結果

健康EXPOは9月5日、サイクロンジャパン / 活性水素水を作る生成器「アクアオリア」が前月比30%増にと題する記事を掲載していた。


いわく、

本抗加齢医学会とフリーラジカル学会で臨床試験の発表も行っている。8週間、4名の血糖値が高めの被験者に1500ccの同製品で作った水素水を摂取させたところ、血糖値の値が有意に低下した。10月16日には、さらに被験者の数を増やした臨床試験の結果を発表予定だ。
とのこと。


僕も含め高血糖の人々にはちょっと飛びつきたくなる話であるが、やはり機序が解らないと納得がいかない。研究の結果はその方法論に大きく依存する(かどうか一般化できないかもしれないが、少なくとも僕にはそう思える)。


たとえば、「還元水素水を飲んでいる」と思っただけで、血糖値が下がる人がいないとも限らない。事実、僕の場合は受診後の血糖値がしばらく低い、という傾向がある。とくに診察時に何らかの治療を行なっているわけではないにもかかわらずだ。


この影響を排除するために、臨床試験では、プラセボ(偽薬)や二重盲検法といったテクニックを使用する。前者は、還元水素水を摂取するかしないかという1条件のみを変化させるためのテクニックであり、後者は「還元水素水を飲んでいる」という被験者および研究者の双方から心理的作用の影響を排除するためのテクニックである。


しかし、実験群と対照群との間で、摂取するかしないかという1条件だけを変えることは難しい。研究である以上、インフォームドコンセントは必須で、研究に差し支えない範囲で、事実を明らかにしなければならない。たとえば、「還元水素水の影響を調べるために、還元水素水を飲んでもらう人とただの水を飲んでもらう人の2群に分けて調査します。ただし、2群に分ける分け方は無作為割付であり、研究終了時まで研究者も、参加者のみなさんもだれが還元水素水を飲んでいるのかを知ることはできません。」という説明をして、同意を得たとする。その結果、還元水素水を飲んでいた群がそうでない群に比べて有意に血糖値が下がったとして、だから還元水素水が血糖を下げるのに効果的である、と結論づけることが可能なんだろうか、という究極的な問いにぶち当たる。


まあ、これは理想的な実験デザインを行なった場合の話で、いつもそういうデザインが可能かどうかはわからない。そうすると、どこかで妥協をしなければならない場面もあろう。その妥協が、研究の結論を支持する最低ラインを維持しているのかそうでないのかということが関心事項であるわけだ。


たとえば、血糖値はmg/dlという単位が示すとおり「濃度」である。だから、単に水を飲むだけでも、血糖値は下がる。溶質(糖分)が一定ならば溶媒が増えれば濃度は下がるという話だ。それが、溶媒としての水のせいではなく、還元水素のおかげというからには、還元水素がなぜ血糖を下げるのかという機序を説明する必要がある。これは次なる課題なのだろう。


この還元水素水生成器の気になるお値段は、税込18万6900円。松岡元農水大臣クラスじゃないと手が出ないって。


到底こんな生成器を購入することのできない貧乏人の戯言、ということで・・・。